リハビリテーションとは

リハビリテーションとは単に機能訓練をさす言葉ではありません。

 リハビリテーションというと、すぐに病院で行われている機能訓練の光景を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、人間は何のために物を持ったり、歩いたりするのでしょう。そこには必ず、箸を持って食事をする、トイレに行って用をたす、さらには包丁を持って料理をする、スーパーに行って買い物をする、そして趣味や仕事にうちこむという目的があるはずです。
すなわち基本的な日常生活動作、さらには広い意味での社会生活を営むために物を持ったり歩いたりするわけです。

リハビリテーションとは単に訓練をさす言葉ではなく、障害をもった方が可能な限りもとの社会生活をとりもどすことを意味するのです。それには障害自体が軽減するように機能訓練を行う必要もありますが、それ以上に本人が生活の中で積極的に体を使うことが重要です。さらには体の不自由が残っても安心して生活ができるような社会を実現することが必要です。

リハビリテーション科では、リハビリテーション専門医が診察を行い、 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士、医療ソーシャルワーカー(医療相談部)などの各専門職に指示を出します。 各専門職は指示に基づき障害度を評価し訓練などを行っていきます。
リハビリテーション医療は多くの専門職によるチーム医療であり、チーム医療においてケースカンファレンス(検討会)は欠かせないものです。当科では、全スタッフが集まり定期的にカンファレンスを行っています。患者様や御家族を含め、医師、看護師、各療法士の意思統一とゴール設定を行っています。 スタッフ一同、患者様がもとの社会生活を取り戻されるよう全力を尽くしております。
また、高齢化社会の到来と地域ケアのニーズの増大に対応し、当科は退院前訪問指導を実施して住居改善のアドバイスを行ったり、市町村の保健師と連絡をとりあうなどして、本学附属病院と地域との懸け橋の役割を果たしています。

リハビリテーションの目的は全人間的復権です。

もともとはラテン語で、re(再び)+habilis(適する)からきています。中世及び近世ヨーロッパでは、キリスト教の「破門の取り消し」や「名誉の回復」として用いられており、ジャンヌダルクのリハビリテーション(名誉の回復)やガリレオ・ガリレイのリハビリテーション(名誉の回復)として用いられていました。
わが国では、社会の偏見や政策の誤り等のために、奪われ・傷つけられた尊厳・権利・人権が本来あるべき姿に回復することとしてとらえ、リハビリテーションを全人間的復権と表しました。

リハビリテーションには大きく次の5つの分野があります。

  • 医学的リハビリテーション
  • 職業リハビリテーション
  • 社会リハビリテーション
  • 教育リハビリテーション
  • リハビリテーション工学(参加支援工学)

(1)医学的リハビリテーション

病院や診療所などの医療機関で行う、理学療法や作業療法などのことです。医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの医療専門職がチームを組んで実施します。心身機能の回復、維持、強化などを目的としています。
日常生活で「リハビリ」と呼んでいるのはこの医学的リハビリテーションのことです。

(2)職業リハビリテーション

障害のある人が働きがいのある人間らしい仕事に就きそれを維持することができるようにする、職業指導、職業訓練、職業紹介などの職業サービスをいいます。
わが国では、「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」や「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」にもとづき、サービスが提供されています。

(3)社会リハビリテーション

2つの定義があります。一つは、社会生活力を高めることを目的としたプロセスのことです。社会生活力とは、「様々な社会的な状況の中で、自分のニーズを満たし、一人ひとりに可能な最も豊かな社会参加を実現する権利を行使する力」を意味します。
もう一つの定義は、「社会関係の中に生きる障害者自身の全面的発達と権利を確保し、一方人間をとりまく社会環境にその可能性の開花を阻む社会障壁があるならば、それに科学技術的に挑んで、障害社会そのものの再構築を図る社会努力」というものです。

(4)教育リハビリテーション

障害のある児童や人の能力を向上させ、潜在能力を開発し、自己実現を図れるように支援することを目的にした支援活動です。障害児教育、特殊教育、特別支援教育などとほとんど同じ意味ですが、教育リハビリテーションは、社会教育や生涯教育なども含む幅広い教育活動です。

(5)リハビリテーション工学(参加支援工学)

リハビリテーションに対する工学的アプローチを一般的にリハビリテーション工学または参加支援工学といいます。具体的には、義肢装具、コミュニケーション機器、環境制御装置、住宅改造、建築及び交通機関等のバリアフリー等における工学的な支援が対象になります。

 

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